事例研究 井助商店

私達が2015年9月に訪問させていただいたのは、「株式会社 井助商店」です。同社は、180年前に漆商として京都で創業した、いわば、漆・漆器のエキスパートです。

学生のコメント

今回のインタビューで一番興味深かったのは、デザインに力を入れている点です。
同社は、漆器という古くからある物に、現代的なデザインやカラーバリエーションを取り入れ、新しいブランド「isuke」を立ち上げています。海外や日本のアドバイザー、デザイナーなどとの連携によって生まれた、斬新な商品は、漆器の既存イメージを打ち破っています。

同社は「MOKU」「IRO-IRO」「KOMA」という新しい漆器シリーズを展開しています。

「MOKU」(写真下段中央)では、木という素材そのものを、デザインとして打ち出しました。海外のお客さんが「珍しい」といって思わず手にする商品です。お店においてある実物をみた私も、強く惹きつけられました。

フランス人のアドバイザーに「IKEAにある物と同じ」と言われ、どこにもない漆器を作ろうと奮起したそうです。ヨーロッパでナチュラル素材が流行っていると聞き、「木の器」という発想が生まれました。

伝統産業でありながら、海外にも日本にもない新しいデザインを取り入れています。といっても、デザインだけに特化しているわけではありません。木は熱を伝えにくいので、熱いものをいれても安心して持てるという利点があります。デザインと機能の両面で他を圧倒するすごい商品です。

「IRO‐IRO」(写真上段)は、井助商店の従来からある商品に新しいデザインを加えたもので、一番リピーターが多い商品だとうかがいました。コストを抑えるために、木の粉を混ぜた素材を使っています。これには驚きました。カラーバリエーションが豊富で、美しい器だと感心しました。

「KOMA」(写真下段右)は、海外の人よりも日本人から高い支持を得ているそうです。私も一番いいなと思ったのがこの「KOMA」でした。こんなカラーやデザインの漆器を作ることができるんだと、驚きました。「和」のイメージが表現されているおしゃれな商品です。デザインに力を入れることがいかに大事かを実感することができました。

井助商店は、伝統品を扱っているのにもかかわらず、新しいものの開発に熱心です。伝統産業が生き残っていくためには、こういった取り組みが重要だと学びました。