事例研究 高岡

「京座布団」で現代の「くつろぎ」を

私達は、伝統産業に携わる企業がブランドを作るにあたってどのようなことを行ったのかを調査するため、企業の経営者にインタビューを行いました。最初にうかがったのが、下京区にある株式会社高岡です。

学生のコメント

一番印象に残ったのは、売り方のお話です。同社は、LOW、SLOW、NATURALの3つを軸にして、商品の生産、販売を行っています。
京都らしい床に座る文化を大事にしており、いい素材で丁寧にゆっくり制作し、適正な値段で売っているというところは、すごく共感できました。
質より量が求められるこの世界で、伝統を守り、よりよい物を時間をかけて作るのは非常にリスクの高いことだと感じますが、だからこそ、ブランドを強化して、ファンを獲得することが大きな鍵になると思いました。

高岡は資本金1000万円、従業員数18名、京都市下京区五条通油小路東入ル金東横町242にある会社です。「洛中高岡屋」というブランドで座布団を中心に寝具や寝装品を販売しています。「新たなる和~モダン和~」というコンセプトで、昔からある座布団のイメージに囚われないものを作ろうと、スタイル、デザイン、作り方の3つの軸で商品を作っているそうです。
もともとは布団を作っていましたが、日本のライフスタイルが変化し、ベッドの需要が伸びて主力商品だった職人手作りの綿布団の需要が急速に減少したために、布団の製造技術が活かせる座布団の製造・販売を始めました。その際、一般的な客用座布団ではなく、自分がくつろぐための座布団という新市場の開拓を意識しました。現社長の高岡幸一郎氏が中心となって、1990年から社内で新しいアイデアを募り、普段の仕事のかたわら、職人と一緒に開発し作り上げた新しい商品ができるまで、約10年弱の歳月がかかったそうです。全ての顧客をターゲットに、6千円~1万円の商品を中心として販売しています。デパートの寝具コーナーや通販、インターネットなどを使って販売しています。口コミから徐々に売り上げが伸びて、今や座布団が同社の主力事業になっています。
国内外から調達した様々な色柄や風合いの約50種類の生地から2種類を組み合わせ、好みの座布団を作ることができます。また、様々な形の座布団があり、形・生地の色の両方から、自分のライフスタイルに合ったものが選べます。商品はすべて丹念な手作りで、オンリーワンの座布団が作れるため贈答品としても人気が高いです。友人へのプレゼントやリビングでの家族との共有を通して、親しい人とのつながりも感じられる商品を作っています。