製品

魅力ある大東寝具工業の製品

百貨店リビング賞特別賞の盾。

同社のオリジナル綿素材である「京和晒綿紗」が2011年に、繊研新聞社から出された第2回百貨店リビング賞の特別賞を受賞。 同賞は百貨店の有力バイヤーが選ぶもので、ユニクログループのセオリーやバーバリーといった有力企業とともに選出されました。


「京和晒綿紗」で作られたパジャマ。肌触りが非常に良かったです。是非欲しい!

長時間にわたり直接肌に触れる寝具として、乳幼児やアトピーの方でも安心して使用できる身体に優しい素材はないだろうか? そんな問いかけが「京和晒綿紗」開発の第一歩でした。大東寝具工業は他と違い、昔ながらの和晒釜で綿の加工を行っています。一般的な圧縮による製法では、処理時間や薬品の影響で生地がやせてしまい、断面が楕円形になり、結局のところ、さらに工程が必要となります。

しかし、大東寝具工業では、和晒釜を使って綿を4日間熟成させることによって、綿にストレスをかけずに加工していくので、ふっくらとした芯のある生地に仕上がります。また、薬品を使わずに加工しているので地球環境にも優しい製法です。長年の寝具作りのノウハウと熟練の技というものが感じられます。

ただ、最初は「京和晒綿紗」という名前ではなく「ピュアコットンガーゼ」という名前でした。しかしそれではありきたりすぎだと、社長の知り合いのデザイナーが「京和晒綿紗」という名前を考えて下さったそうです。


この他にも魅力ある製品があります。まずは逆流性食道炎対策の枕です。

40代〜50代になるとストレスや生活リズムの乱れが出てきます。夕食後、就寝までに最低4時間は空ける必要があると言われますが、それは、4時間以内に睡眠をとった場合、胃酸が逆流して食道が炎症を起こす可能性が高くなるからです。ひどくなると、胃の上部の口が開いて胃酸が上がり、食道に障害が出ることもあります。そういった方は、少し上体を起こして寝るのが良いとされています。

ただ、そうした方を助ける専門的な寝具がこれまでありませんでした。「このような悩みを持った患者さんのために枕を考案してみてはどうか?」というある内科医の提案が、この枕を開発するきっかけです。

どのような人が、どんな症状で、どういったことで困っているのか、というヒアリングを行い、その内科医と一緒に、枕の形や幅、硬さなどを細部にわたって工夫し、製品に仕上げました。それを社長がインターネットに載せました。この枕は医療器具ではありません。認可をとらないと「○○に効く」などと表記できないため、今は「傾斜寝姿勢サポート枕」という商品名を付けています。

「逆流性食道炎の患者さんから多くの注文を頂いている」という書き方で販売し、2011年12月に特許を申請しました。

左の写真の製品がその枕。上体が起きるよう工夫がしてあります!
先ほどの通り、逆流性食道炎に効果があるという表記はしてありません。薬事法などの法律で現在は厳しく規制されているので...

他には「tetra」というソファも販売しています。15年程前から座布団の需要は減ってきています。大東寝具工業でも売り上げの25%〜30%を占めていたのですが、どんどん減少してきました。それに伴い会社の売り上げも落ちていきました。そこで座布団にかわる新しいものを開発しなければならないと思い、「立ち上がりやすい座布団」、「骨盤を矯正できる座布団」といったプラスアルファのキーワードを探し求めて試行錯誤する中で、現在の製品の形に辿り着きました。インターネットで販売してみると、何人かのお客様から「変わった形しているね」といって注文をいただきました。6年前(2006年)のことです。そして2006年には「京都デザイン優品」、2008年には経済産業省の「地域資源活用プロジェクト認定品」に選ばれました。

生地は日産の自動車FUGAで使われているレザーを採用しています。


左の写真が紹介した「tetra」。上品な仕上がり!

御覧のように三角形になっており、座ると背もたれが立つ仕組みになっています。実際に座ると座り心地が非常に良くて背もたれがすっと背中に沿って立ち上がります。同社を訪問した学生全員がうなりました。是非家に持って帰りたいと思うほどの座り心地でした。

大東寝具工業の製品は京都の老舗の俵屋旅館で使用されています。阪急阪神百貨店、三越伊勢丹などでも販売されています。またインターネットでの販売も行っています。気になる方はホームページをチェックしたり、実際に俵屋旅館に行ってみてはどうでしょうか。


下請けからの脱皮〜現在に至るまで〜

下請時代・・・

大東寝具工業もかつて下請け企業でした。そこからいかに脱皮するかが大きな目標としてありました。国内の製造コストが高かったこともあり、同業他社は中国に生産拠点をシフトしていっていた時でした。「(下請け企業だった)当時の大東寝具工業は中国に出ていく資本力もなく、中国へ行く気もさらさらありませんでした。じゃあどうしたらいいのだろう?」と試行錯誤を重ねました。例えば、業界の垣根を取り払い、寝具業界だけでなくインテリア業界やデザイン業界、住宅建築設計業界などといったところに仕事がないだろうかと探しました。

インターネット通販スタート

その中で一番効果的だったのはインターネット通販だったそうです。最初は数十万円の売り上げだったらしいのですが、ピーク時には、年間二億数千万円を売り上げました。「在庫がなくても商売ができて、お客様にインターネットで商品を直接買ってもらえる、なんて素晴らしい商売なんだ」と社長は感心しました。この販売方法に目を付けたのが割と早かったので利益が生まれ、利益率は上がり続けています。インターネット販売をしていると商品に関してお客様からたくさんの意見がよせられます。「こういったお客様とのやりとり、つまり、キャッチボールによって製品がブラッシュアップされていく、これはインターネットだからできるのかな、やりやすいのかな」と社長は気づきました。「インタラクティブ(双方向)にお客様とやりとりできるような形を常時作っておかないといけないな」と実感した瞬間でした。

よりお客様に親身に

「電話をかけやすくする必要がある」と、ホームページにフリーダイヤルの電話番号を載せています。北海道から沖縄まで、固定電話、携帯電話、スマートフォン、全て無料です。当時、フリーダイヤルでそういったサービスをするところは少なかったのですが、お客様とのアナログ的なやりとりも大事にしたかったのでこういった手法を採用しました。また、お客様ひとり一人にメッセージカードを作成し、商品と一緒に配送するサービスもあります。本当にお客様のことを考えているんだなと感心しました。

東京へ進出

2007年、東京・青山のスパイラルホールでワコールが京都のプロダクツを東京の百貨店やバイヤーに見てもらおうというイベントをやっていたのでそれに参加しました。そこで初めて「自社製品が今まで考えていなかったマーケットに売れるかもしれない」、「多くの人に自社製品を知ってもらえるかもしれない」と思いました。イベント会場には三越や伊勢丹、LOFTのバイヤーらが来て下さり、名刺交換などをしているうちに三越から「商品を売りに来ない?」、「場所は提供するからあなた達自身で売ってみない?」という話が持ち込まれました。「これからはもっと自分たちでブランディングしなければならないと悟り、そこからデザインやブランディング、いわゆるマーケティングを真剣に考えるようになりました。BtoBからBtoCに移行していくという戦略で事業を展開するようになり、それが現在の経営に繋がっています」と社長は振り返っていました。

お客様との距離の近さが同社の強みになっていると思います。さらに、企業や製品に関するブランディングがしっかりしていたからこそ今の成功があると感じました。

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