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Faculty of Economics

経済学部

学部長メッセージ

経済学部長 佐々木 淳

龍谷大学に経済学部が誕生したのは、今から半世紀ほど前の1961年のことでした。折しも日本経済が高度成長に入った頃で、経済学部創設にあわせて新設された深草キャンパスには荒れ野を切り拓いていくような進取の精神がみなぎっていたと伝えられています。それは、龍谷大学が文学部(大宮キャンパス)のみの単科大学から総合大学へと飛躍していく第一歩でもありました。

さて、みなさんは、四字熟語で「経世済民」という言葉を聞いたことはありませんか。「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」、つまり、「世の中をよく治め、人々の苦しみを救うこと」というような意味合いの政治道徳を表す言葉で、もとは中国の古典から来ています。日本では、古くから「経済」と短縮形で言われることもありましたが、18世紀の頃に、ヨーロッパで「国家の管理」を意味する「エコノミー(economy)」と同質の用語として、この「経済」という言葉が使われるようになり、現在に至っています。もっとも、今では、そのような「統治術」というよりも、人々の衣食住を支える物質的な世界の仕組み(財やサービスを生産し、分配し、消費する社会システム)を表す言葉として用いられるのが普通です。

経済学部では、社会科学のひとつとして、この「経済」の法則を解明する学問、すなわち「経済学」を学ぶわけですが、その際には、単にモノやカネの廻り具合だけでなく人々の生活(暮らしぶり)も含まれた「経済」についてよく知り、是非とも自分なりの問題意識を持って学んでほしいと思います。
たとえば、みなさんの最も関心の高いものの一つに、AI(人工知能)があるかと思います。最近、AI などの発達によって10年後にはなくなってしまうかもしれない仕事がリストアップされて話題になりましたが、みなさんの中にも「将来、AIに仕事を奪われてしまうのではないか」、「非正規雇用がもっと増えるのではないか」と不安に思う人がいるのではないでしょうか。あるいは、「東京オリンピックが終わったら景気が悪くなって就職が厳しくなるのではないか」、「少子高齢化が進むなか、老後にはちゃんと年金がもらえるのか」などなど、「経済」のことを知って、みなさんが不安になることは、他にもたくさんあると思います。
人は不安を感じてはじめて本気で知識を得ようとするものです。『君たちはどう生きるか』という本が漫画でベストセラーになっているのも、大きな時代の転換期にあって将来が見通しにくくなっているためでしょう。将来への不安を少しでも解消しようとして自分なりの問題意識を持って真剣に学んだ「経済学」はみなさんの血となり肉となって、社会に出た後も研鑽を続ければ自分の身を守る「知恵」になります。その土台を「経済学部での学び」で作ってもらいたいと思います。

龍谷大学の経済学部には、みなさんの現代的な関心に応えるべく、教養教育科目を基盤として、多様なアプローチによる様々な「経済学」のメニューが、現代経済学科と国際経済学科という2つの学科を軸としてプログラムごとに取り揃えてあります(現代経済学科プログラム:現代経済学・産業経済・ファイナンス・応用政策・経済情報、国際経済学科プログラム:国際経済学・開発経済・経済史・世界経済・フィールドワーキング)。その中には、「温故知新」、すなわち「故(ふる)きを温(たず)ね、新しきを知る」ために必要な歴史に関する科目(経済史や経済思想史)も含まれています。歴史を知って、自分の問題意識を相対化することも大切です。
さらに、このような想いで学んだ経験を独り占めにするのはもったいない、後輩に学びの経験を伝えていく、教えていくことで、また新たな発見をして自らも学ぶ、こうした先輩から後輩へと「学びの連鎖」を生み出していく仕組みも経済学部には設けられています。それが、昨年度から導入している「授業内ピア・サポーター(PS)制」です。これからの社会では、AI などの発達もあって、単に言われたことだけを繰り返す勤勉さよりも、社交性を持って人と共感しながら仕事をこなしていく能力が重視されるようになります。そのためには、このような他者に働きかける能動性を意識的に引き出していく取り組みが欠かせません。新しい時代に向けての進取の精神は経済学部創設以来の伝統ですが、この「授業内PS制」もそうした挑戦的な試みの一つです。
そうは言っても、みなさんの前に提供されている様々な学修機会は、みなさんが将来の目標を打ち立て、自らの道を切り拓いていくための場(手段)にすぎません。自分なりの問題意識を持ってそれらを能動的に活用し、その学びを通して、物事の判断がきちんと自分の力でできる、地に足のついた人間に育ってほしいと思います。

経済学部長 佐々木 淳

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