「 国際経済 」「 開発経済 」「 経済史 」の3 つのプログラムを柱とし、ゼミナール・キャリア形成科目を学修。世界経済の実情に目を向け、世界中の人々と協働しながら問題解決を図れる人材の育成をめざします。
今井 愛梨さん
国際経済学科 3年生
(京都府立城南菱創高等学校 出身)
瀧澤 妃乃さん
国際経済学科 3年生
(奈良県立奈良北高等学校 出身)
南條 希空さん
国際経済学科 3年生
(滋賀県 近江高等学校 出身)
南條:このプログラムでは、世界における経済の動きを学び、ビジネス、経済といった複数の視点から国際経済をとらえていきます。国家間取引に必須の為替の仕組み、海外進出した日本企業の現状、諸外国の経済など、さまざまな選択肢があるなかで、私が特に興味を覚えたのは「 中国経済論 」です。この授業では、中国強大化の様子とそこに至るまでの背景、強大化による国民生活の変化について掘り下げ、中国政府が推し進めた政策によって国民の暮らしがどのように変化したのかを明らかにしていきます。私が注目したのは、所得格差と土地の買い上げ問題です。毛沢東が唱えた「 共同富裕 」に基づく習近平の政策は、確かに社会全体の所得を上げ、貧困率も大幅に低下させました。しかし、今なお都市部と農村部の格差は縮まらないのが現状です。土地の買い上げも地方政府が生み出した新たな問題であり、不当な価格で買い上げ不要な工事を行うといった財政運営の結果、借金は肥大化しています。これらは決して中国内だけの話ではなく、隣国の私たちにも起こりうる社会問題なのです。
瀧澤:このプログラムでは、昨今問題視されている地域格差などの社会問題を学び、解決に有効な政策や地域を自立へ導く方法を考察します。私たちが取り上げたのは、沖縄の米軍基地に関する諸問題です。基地問題に言及する場合、日米両国の関係性もあって一概に解決策を講じることはできません。しかし、米軍基地が沖縄の内発的発展の足かせとなっている現実がある以上、地域住民の悩みに耳を傾け、思いに寄り添いながら、双方が納得できる施策を打ち出す必要があるのではないでしょうか。歴史的な背景から基地を置かざるを得なかった沖縄の問題を、基地撤退を含めたさまざまな角度から考察すると同時に、日本随一の観光地である沖縄の観光産業をさらに活性化させる方法についても検討することが重要だと考えます。
今井:経済史は、さまざまな経済社会が歴史上どのように発展してきたかを研究する学問です。私はこのプログラムを通じて、経済学的に起こった事象を高校時代に習った日本史や世界史の出来事にからめながら学びを深めています。経済史に関する基本的な知識を確実に身につけながら、歴史的な事件を裏で支えた経済活動やその後の歴史についても理解を深めていけるのが授業のポイントです。おおまかな歴史の流れを把握しておく必要はありますが、経済と歴史のつながりを知るにつれ、経済活動を助ける政策や方法の有用性を実感できます。目の前にある情報だけにとらわれることなく、どのような事象でも過去のデータと照らし合わせて冷静に判断する能力も身につきました。
南條:社会問題にどのように対処するかを考えたとき、その背景と原因を知らなければなりません。偏りのない正確な情報を入手することが解決への近道となるはずです。この授業をとおして身につけた、包括的に結果をとらえる手法に基づき、情報が氾濫している現代社会でも情報を公正に判断できる力を養っていきたいと考えています。
また、中国をはじめとする他国の経済発展の様子を学ぶなかで、それぞれが抱える問題とその解決策についても理解しました。もし私たちが同じような事態に陥ったとしても、近似したその問題の背景や原因を知っていれば、回避できるかも知れません。今回のプログラムで、社会の幸福について考える機会が増え、視野も格段に広がりました。日本・外国・世界というそれぞれのくくりで物事をとらえられるようになったので、今後は国内の社会問題にも鋭い目を向け、社会の発展を模索する起点になれればと思います。
瀧澤:実際に沖縄を訪ねて現地の経済と関わっている方からリアルなお話を聞き、自分なりに導き出したアイデアを提供したことは大きな自信となっています。地域経済論の座学で学んだ基地問題や米軍機の騒音問題を、自分ごととして理解できたのも貴重な経験でした。先に理論を学び、それを自分の目で確かめるこの学修の流れにより、とても効果的に思考を深められたと実感しています。楽しい観光地というイメージの強い沖縄や太平洋諸国も、新型コロナの影響で観光による収入が途絶え、大変な思いをしたといいます。一般的には知られていない、地域の内情や諸問題を知り、学生の私たちならどう考えるか、アプローチ方法を検討した実践的な学びは、社会に出たあとも、大きなアドバンテージになると信じています。
今井:私たちも体験したコロナパンデミックのような事態がなくなることはないでしょう。今後どのような非常事態や大災害が起こったとしても、人が生きていく以上、経済活動をやめるわけにはいきません。さまざまな時代や場所で実際に行われてきた、経済活動を助ける政策や方法を知っておくことは、想定外の出来事に直面した際の備えとなるはずです。過去の例から現状に適したものを模したり、そこにヒントを得て時代にあわせた新たな施策を検討したりすることで、ピンチを切り抜けられるかも知れません。歴史的な観点から見た経済活動を深く理解し、将来に活かしていきたいと思います。
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市井 隼太さん
国際経済学科 3年生(滋賀県立八幡高等学校 出身)
中学時代の恩師から海外ボランティアの体験談を聞いて以来、途上国支援に興味があり「 国際協力 」をテーマとする神谷ゼミを選びました。本ゼミは、統計データや映像を教材に国際協力を学ぶことが特徴で、過去のゼミでは、開発途上国で SDGs 活動に取り組む日本人を取り上げた動画を視聴しました。途上国の発展に尽くす姿を見て、国際社会の問題は私たちが真摯に向き合うべき社会課題なのだと気づきました。また神谷ゼミは、学びを実践する機会が多く、今年度は台湾研修を行い、ゼミ生主体で現地の学生に聞き取り調査を行いました。右も左もわからない外国で、自分たちの足で情報集めに奔走するという貴重な経験ができ、対話力や仲間との協働力も培われました。
カオ ティ ハイさん
国際経済学科 3年生(ベトナム HOANG HOA IV High School 出身)
神谷ゼミを選んだのは、ジェンダーによる格差が国際社会にどんな影響を及ぼすかを探究したかったからです。ゼミの研修先である台湾はジェンダー ・ ギャップが少ない国とされており、現地のアンケート調査でもそれを実感しました。台湾では、学校や会社などの組織がジェンダー平等に向けた取り組みを積極的に行っているのです。私はゼミ活動を通じて、ジェンダー平等の促進 ・ 実現は、国民一人ひとりがその重要性を知るところからはじまると知り、身近な人と意見を交わす行為も、男女格差のない社会の実現につながるアクションなのだと気づかされました。この先もジェンダー問題を自分ごととしてとらえ、その解決に貢献できる人になりたいです。