
国際経済学科は、「国際経済」「開発経済」「経済史」のプログラム選択で、その専門的知識、世界経済の仕組みや動きを理解・分析する力を身につけることが可能。各プログラムで学ぶ3名から、学びの様子などを聞いてみました。
三原 慶子さん
国際経済学科 3年生
(大阪市立南高等学校 出身)
鶴岡 杏梨さん
国際経済学科 3年生
(大阪府立枚方高等学校 出身)
石井 拓海さん
国際経済学科 4年生
(大阪府立三島高等学校 出身)
三原:国際経済プログラムでは、グローバル化がすすむ現代社会においてどのような経済活動が行われているのかを知り、進化し続ける経済理論を深く掘り下げていきます。本プログラム最大のポイントは、世界経済に対する確かな知見を得られることです。グローバル化が加速するこれからの時代を生きていく私たちにとって、自国だけでなく世界の経済事情を理解することは、もはや不可欠なのかもしれません。柔軟な思考をもつ学生のうちにこれらの知識を修得し、グローバルな視野を養っておけば、社会人として働く将来への大きなアドバンテージになると考えています。
鶴岡:私が所属している開発経済プログラムのゼミは、フィールドワークが中心です。「日本の農業・農村での体験を通じた、持続可能な食と農の関係」をテーマに限界集落を調査し、学生目線から集落を活性化させる手段を探しました。農業に関する議題が多く、一見「経済学部らしくない」と思われるこの活動も、データの集積や分析、そして具体的な施策の提案には、経済学的な知見が求められます。実情に即した経済事情を知るといった観点から見ても、自分の知識をアウトプットできるフィールドワークは、経済の仕組みに対する理解への足がかりとなるでしょう。散在する課題を自らが見つけ出し、課題解決の手立てを探っていく経験は、社会に出てもきっと役立つと思います。
石井:この経済史プログラムで、私は主に学説から経済学の歴史を考察し、望ましい政策の実現に向け分析しています。人々の意思や思惑を超えた経済の構造・社会システムに注目する経済史に対して、経済学史は人々のアイデアや動機、誘引といった認識活動そのものに着目して経済を紐解いていきます。いわば、経済学の見取り図のような学問といえるでしょう。かなり長い歴史をもつ哲学や法学に比べると、経済学は未成熟な部分もあります。そんな若い学問であるにもかかわらず、急速な発展を遂げてきた経済学は、整理すべき論点が多いのも事実です。だからこそ、経済史の学びは、経済学の強みや弱みを再認識するきっかけにもなるのではないでしょうか。
三原:経済のグローバル化が加速度的に進み、人・モノ・お金の動きに国境の垣根がなくなった昨今、日本と海外の経済的な結束は過去に例を見ないほど強くなっています。貿易や為替といった、現代のリアルな世界経済を学ぶなかで、これからの国際社会を生き抜くには、世界の広さと世界経済のリアルに目を向ける必要があるとわかりました。私自身の視野が狭かったことにも気づき、今の自分が何をするべきかを考えられるようになったのも大きな成長だと感じています。このプログラムをきっかけとして、今後ますますグローバルな視野を磨き、国際的な視点から物事を見る力を養いたいと思います。
鶴岡:私は実際に限界集落を調査して、高齢化や人口減少といった世間で認知されている問題以外にも、さまざまな課題が山積していると知りました。例えば、各地に分散している行政サービスの問題です。都道府県や市町村による公共投資や行政サービスなどが分散されている現状において、行政側がサービスを維持しようとすれば、多額の支出は避けられません。日本の厳しい財政状況下では、いずれサービスの提供自体が困難になる可能性もあるでしょう。このような事例を踏まえて、各地に分散する集落を一つに集約して生活サービスを向上させれば、行政サービスの経費削減にもつながると考えました。
石井:経済学者の学説を読み解くといっても、相似点や真反対な意見も数多く、それぞれの持論は千差万別です。そのような多彩な考え方に触れるなかで、多様性への理解が確実に深まりました。マイノリティの意見にも真摯に耳を傾け、尊重する姿勢は、経済学的な問題だけでなく、他分野における社会問題の解決にもつながるのではないでしょうか。このプログラムをとおして、今まで気にも留めていなかった社会問題、例えば、不景気の要因や景気を回復するための政策などにも目を向けるようになり、広い視野で社会を観察できるようになったと感じています。小さな疑問に関しても調べる癖がつき、以前に増して探究心も強くなったと感じます。
鶴岡:私たち学生の考えはまだまだ稚拙で、きれいごとかもしれません。しかし、たとえ今は実現できないとしても、学生ならではの視点で課題をとらえ、自分たちなりの解決策を模索するなかで新たな気づきを得ることもあるでしょう。何をなすべきかを見つけ、それをどうやって行動に移すかを考える。実践的な学びでその大切さを学んだ今だからこそ、自分軸で物事をとらえ、自分なりの答えを探していきたいです。
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玉置 絢菜さん
国際経済学科 3年生(大阪府立狭山高等学校 出身)
西川ゼミに入ったのは、地域活性化や食品ロスなどの社会問題を解決したいと考えたからです。本ゼミはフィールドワークが多いのが特徴で、田植え・稲刈りの農業体験や現地調査をとおして農家の実態や地方の現状を学び、農業・地域を守るため自分たちにできる行動を考えます。現在すすめている卒業論文では、滋賀県高島市の活性化について考えています。これまでに名所・特産品の調査や住民対象のアンケートを実施したほか、市内で行われた全国棚田サミットに参加・成果報告をするなど、地域に密着した情報収集を行いました。さらに、より広く地方創生の意義を訴える研究内容とするため、講演会や勉強会にも参加し、地域社会の現状を反映した情報を仕入れて研究の充実につなげています。研究活動のなかで培われた行動力や情報収集力を活かし、今後も地域活性化の方法をより深く考察していきたいです。
東根 いち乃さん
国際経済学科 3年生(兵庫県 須磨学園高等学校 出身)
お米や野菜などの農産物は、農業従事者の手を経て私たちのもとに届きます。食の経済活動を根幹から支える方々の働き方や労働環境、直面している課題を知りたいと思い、フィールドワークが充実している西川ゼミを選びました。さまざまな調査を通じて、生産地域には座学や情報だけでは計り知れない魅力がたくさん存在していると知りました。また、その事実を広く発信して地方創生への足がかり・社会課題の解決へつなげたいとの意識が芽生えました。卒業論文では、調査で訪れた滋賀県内の森西集落を主題に、限界集落や棚田のもつ魅力とその発信法を考察する予定です。ゼミ活動をとおして農業の観点から社会問題を考える力がつき、買い物でも生産者の表示をみるなど、身近なところでも農業と社会の結びつきに着目するようになりました。学びの成果は、こうした変化に強く表れていると感じています。