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Faculty of Economics

経済学部

アドバイザリーボード

「公務員をめざす君へ」岡山県真庭市長(前京都府副知事)太田 昇

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多くの学生と交流することが大事

私が大学生だった頃は、既に学生運動が終わりかけていましたが、沖縄返還問題や大阪万博などもあった影響で、多くの学生が社会問題に関心を持っている時代でした。

京都の大学で過ごして感じたのは、今も同じですが、「京都は学生の街」で、全国から多くの若者が集まっています。お互いに歩いて下宿先に行けるし、お酒を酌み交わしたり、勉強会みたいなものにも参加できる。これは大きな魅力でチャンスでもあり、龍谷大学の学生にも積極的に交流の輪を広げてほしいですね。

京都府職員としての仕事

私は岡山県の農山村出身で、地域が過疎化していくのをみて、世の中のためになる仕事がしたいという気持ちを持っていました。それで公務員を目指し、地域から改革していこうと京都府庁に入ることになりましたが、入庁の頃はオイルショックの後で、採用倍率の低い時代でしたね。

入庁後、最初の仕事は住宅課というところで府営住宅の管理を直接担当していました。今は京都土木事務所になっていますが、まさに現場ですので、夜中に電話がかかってきたり、様々なトラブルもありました。

それから土木の監理課に入り、事務改善や法務の仕事をした後に、商工課で融資の仕事を担当した時には、簿記の勉強も必要だと感じました。さらには、青少年婦人課で青少年向けのイベントをしたり、それから秘書係長になって政治との関わり合いを学びました。それから地方課(自治振興課)で勤めましたが、実質的に京都府の地元代表として、京都府内のたくさんの方々と知り合いになれたことが大きな財産となっています。

財政危機を乗り切った経験

平成十一年の頃、財政課で課長を担当した時に、府の財政危機を乗り切ったのが大きな思い出です。十一年のはじめから悪くなっているのがわかっていたので、税収課題見積もりをおこない減額補正をかけること、給料を下げること、議員の報酬も下げること等を実行しました。組合との折衝や税の減額など様々な苦労があり、議員からも相当怒られましたが、何とかやり遂げることが今の府政につながっています。

そのあとは、人事担当部長で再任用制度と今の広域振興局体制案をまとめ、山田府政になって知事室長を四年したあと、二期目は総務部長を四年、そして三期の今に至りました。私は副知事として、内部管理をやってるように見られがちですけど、若いころは現場中心の仕事が多かったですね。逆に言えば専門性がないのですよ(笑)

公務員の醍醐味

直接的な仕事と間接的な場合があると思いますが、「人のために役に立ってる」というのが公務員の醍醐味だと思います。幸せな社会、環境や条件を作る。主役は個々の人ですが、条件を整備することについては、行政が多く関わることができます。

そして「多様な仕事ができること」も魅力だと思います。専門性が身につかないという言い方もありますが、人生の中で一つをやりあげるのも立派だとは思う一方で、いろんな仕事をすることで、自分の視野を、あるいは見識を広げることができるのも楽しみの一つだと考えています。

大学生の時にしておくべきこと

大学生に身につけてほしいのは、「客観的に物を見て、分析する力」ですね。それと、公務員の場合は、幸せな生活の条件づくりと言うか、人間に対する愛情みたいなものが大事だと思います。それと採用面接して思うのは、対話・コミュニケーション能力を含め、根底には「自分で考える力」を身につけてほしいと思います。

「対話をする、相手から意見を引き出す能力、人間としてコミュニケーション通じ合える能力」そういったことを意識して身につけてほしい。アルバイトも意識してやれば社会勉強になると思います。

親と子どもはもっと対話しよう

子どもを過保護にしないこと、つまりは就職や社会に出ることを、子どもの頭で考えさせることが大切です。その一部として、親の労働観やこれまで働いた経験を、子どもに語り対話をすることも必要です。そういう中で子どもが働くというのはどういうことなのか、社会に出るということはどういうことなのかを考えさせてください。

あとは私自身が出来なかったことなのですが、外国語が話せるといいなと思います。コミュニケーション能力の一つだと思いますが、京都の場合は留学生や外国人観光客も多いですから、彼らと話しをしたりしてコミュニケーション能力を育てることが社会に出た時に役に立つと思います。

※当稿は、太田氏が京都府副知事に在職中に取材いたしました。

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