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Faculty of Economics

経済学部

アドバイザリーボード

「人に喜んでもらう仕事」ワタベウェディング(株)相談役 渡部 隆夫

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私は二代目として、まず東京で貸衣裳店に就職(修行)をして、約三年で京都に帰って来ました。東京に行く際に、在来線で揺られながら、生まれて初めて富士山を見た時、「やるからには日本一の貸衣裳店になろう」と考え、これまで、「ワタベウェディング」を日本一の貸衣裳店にするのが私の役目だ、と固く決意して仕事に打ち込みました。

日本一の貸衣裳店になるために

京都に戻り、最初に始めた結婚式場内のテナントである貸衣裳室は順調に売り上げを伸ばしましたが、あくまで下請けでしたので、それでは「一定以上のキャパシティのある商売ができない。このペースでは、日本一の貸衣裳店になれないな」と考えました。

そこでワタベ創業の二十周年に、大戦略を打とうと思い、当時、大阪万博が開催され、日本人の目が海外に向くようになってきているのを見て、これからの時代は国際的な事業を取り入れないといけないなと思いました。

そこで考えたのが、ハワイに店舗を作り、全国各地からハワイに来てもらって結婚式をしてもらう方法、これなら店一つで日本を制覇できるなと思いました。すぐさま、JALやJTBの本社に飛び込んで、専属契約をした結果、これが成功し、日本だと結婚式は土曜・日曜日に集中するのですが、ハワイでは毎日結婚式ができるので、非常に生産性も高く、順調にやってきました。

その後、真似する会社も多く出て来ましたが、価格戦略で、勝負することで長い間、単独で創業者利益をあげることができ、他にも、中国(上海)で、さらにベトナムのホーチミンで、ウェディングドレス縫製工場を造りました。

貸衣裳業に拘らず、ウェディングドレスの製造販売一体の流通業として総合ブライダル業を創ることで、大きなコストダウンを達成し、業態変換を図りながら成長路線に乗せることができました。

座右の銘 変化の創造

貸衣裳店は、衣裳を貸すのが仕事という風に思い込んでしまっていたら、今の「ワタベウェディング」はなかったと思います。常に、時代の目、トレンドを見ながら時代の流れに乗ることが大事です。

貸衣裳店を営みながら、戦略的柱も打ち立て、中小企業として、自分たちのできる範囲の中で、ブライダル業界で、社会変革(イノベーション)を起こして、時代を先取りした新業態を創り出し、さらに全国展開をしようと思うならば、それに必要な資金獲得のために利益を上げる方法を考えないといけない。今は社会環境の変化が激しいことから、常に新しいサービスを創造し続けることが組織の成長と存続に欠かせない要件だと思います。

面接採用の決め手

私は、入社面接の時に「誰のために働きますか?」とお聞きします。

生活のためとか、自分の成長のため」という答えは×です。

「お客様の喜ばれる顔が見たいので」というような答えは○です。

結局、我々はサービスを提供してお金をいただく仕事なので、そういう「利他(人を大切にする気持ち)の志」を持つ人を採用します。「お客様のためにサービスし、素敵な生活文化を創造する。つまり、時代の変化を創造していく。そのためには自分でその解答を考える、そして解答に従って行動し、継続した努力をする、個人の主体性が大事です」

時間は際限なくあるようで、実は有限である

学生のみなさんは長い将来があると思いがちですが、社会人として生きる日数を数値にすると、実は一万五千日(四十年)ぐらいしかありません。さらに、土日祝日を休むとすると、実際は一万日くらいです。その「一万日を大事に」してほしいと思います。

一万日の中で仕事について一生懸命に取り組んだ結果、「素晴らしい人生になって良かった」と思えるような、夢中になる仕事を選び、人生の目的を達成するために行動力をきちんと計画を組みながらやっていくことが、大事だと思います。

人生のビジョンをしっかり作ること!それは大きいほうがいいです。小さい目標だと、すぐに三十代ぐらいで達成感を味わって、人生は成功したから、あとは遊んでいいなんて話になりがちです。ですから、四十年かかるような大きな目標を掲げて、その長期の計画の中で、忍耐と苦労と素晴らしい実践力が培われていき、六十歳、七十歳になったときにいい人生だったと思えるような、そんな人生のビジョンを、学生のみなさんには描いてほしいです。

ロシアの文豪ゴーリキーが「仕事が楽しみなら、人生は楽園だ。仕事が苦しみなら人生は地獄だ」という言葉を残していますが、大いに共感します。自分の生涯をかけた仕事が楽しいと思えるのは、これほど幸せな事はないと思います。どんな仕事でも、そう思うように先ずは努力しなければなりません。

保護者の方も、お子さんが描く人生のビジョンを一緒に考え、時には尊重してやることが大事だと思います。

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